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旅の仲間

-この山の景観はまさに千変万化のおもしろさであったが、いまや、そんなものは親王にはどうでもよかった。景色なんぞはてんで眼中になかった。親王はなにかを求めて、ひたすら足をうごかしていた。なにを求めているのか、なにをさがしているのか、自分でもよく分らないようなところがあった。そしてつらつら考えてみると、自分の一生はどうやら、このなにかを求めて足をうごかしていることの連続のような気がしないでもなかった。どこまで行ったら終るのか。なにを見つけたら最後の満足をうるのか。しかしそう思いながらも、その一方では、自分の求めているもの、さがしているものはすべて、あらかじめ分っているような気がするのも事実であった。なにが見つかっても、少しもおどろきはしなかろうという気持ちが自分にはあった。ああ、やっぱりそうだったのか。すべてはこの一言の中に吸収されてしまいそうな予感がした。


-澁澤龍彦 「高丘親王航海記」 より-
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by solalyn | 2011-06-30 01:40 | WORDS | Comments(0)
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