タグ:Summicron 50/2 ( 119 ) タグの人気記事

ぜんぶ

 先日、仕事の撮影の合間に、見知らぬ街を稼がないほうのカメラを持ってほっつき歩いていたときの話。

ちょうど丘の上から駅前の喫茶店に向かって道を下っているときに、女の子たちの話声が聞こえてきた。キャーキャー言っている。中学生ぐらいかな。ちょうど下校の時間か。だんだん声が近づいてきた。

「はい!1、○○君、2、○△(呼び捨て)、3、○□先輩。さてどれでしょう!」

間髪入れずに他の子が口々に○○君だの○□先輩だのと答える。

「ブーッ。ちがいますっ」

少女たちがほんのひとときしかとどまることができない、あの時期特有の輝かしい笑い声をはじけさせる中で、問いを発した少女は高らかに宣言した。

「正解は、全部でした!」
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by solalyn | 2017-06-03 00:38 | Comments(0)

うつってしまうものたち

 最近、「距離1.5~2メートルでのスナップショット」がマイブームである。

上がりを見て、いまだに驚きやよろこびを感じる。つくづくスナップショットはおもしろいなと思う。極々まれに、人生の謎が、ふっと、映り込む。
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by solalyn | 2017-05-24 01:48 | PROPOS | Comments(0)

遠い太鼓

 父と母。

上がってきた写真を見ながら、あとどれくらいの間、こんな写真が撮れるんだろうかと考えた。
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by solalyn | 2017-04-14 01:15 | PROPOS | Comments(0)

テクテク パチパチ

 先日、十五年来の写真の盟友とふた月ぶりに(いつもの、あの懐かしい三十代の日々に、われらが根城だった)サイゼリヤで話をした。そのときの彼の言葉。

「たくちゃん、写真はね、眼の延長でも手の延長でもありませんよ。足の延長なんですよ。足がぼくのまわりの景色をスクロールさせていってくれるんですよ。そうやって流れていく景色を、ぼくはただ撮るだけでいいんですよ」
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DATA:Leica M6 Summicron 50/2 Kodak Tri-X 400 f5.6 1/250
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by solalyn | 2017-02-27 01:53 | PROPOS | Comments(0)

どこにもないところ

 島尾敏雄の小説『死の棘』のもとになった言葉が記されているという、聖書の「コリント人への第一の手紙」について検索していたはずが、いつの間にか横道に逸れていた。その横道に落ちていた言葉。

「ユートピア」という単語は、ギリシア語の”Ou(無い)”と”Topos(場所)”を、あるろくでなしのイギリス人がかけ合わせたものだという。

あ、「ろくでなしの」というのは、単なる個人的な直感で、根拠はありません。ではでは。
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DATA:Leica M6 Summicron 50/2 Kodak Tri-X 400 f2.8 1/30
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by solalyn | 2017-02-05 23:14 | PROPOS | Comments(0)

女学生は死なず

 父方の大叔母であるクニヨは、「薩摩生まれのお転婆女学生が、そのまま年をとった」という女である。ころころとした容貌に相応しく、陽気でよく笑い、にぎやかなことがだいすきだった。

数年ぶりに会った彼女は、骨と皮だけにやせ細っていて、病室に入ったときには本人かどうかわからないほどだった。

でも、ベッドに近寄って目を見るとすぐにわかった。ああ、そうだ。この目だ。いたずらっぽく、きらきらしている目。

その日、孫やひ孫に囲まれた彼女は

「まあ、こんなに若い男に囲まれてしあわせだこと」

と言った。そういいながらも、しばらくするときっぱりこう言ったのだ。

「あなたたちはこんなところにいてはだめ。外で遊んでらっしゃい」

その台詞は、ぼくもちいさい頃彼女からよくいわれたものだった。

帰り際にぼくは、「クニヨ、遺影を撮るからポーズして」とせがんだ。彼女はちょっと笑い、親指がするするとあがってきて


カチ 
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by solalyn | 2017-02-01 03:07 | PROPOS | Comments(0)

Love to Thanatos

 先日、四年半ぶりに死神がやってきた。

今回はニヤニヤ笑うだけで帰っていった。ひらひらと手を振りながら遠ざかっていったその後ろ姿は、どこか自裁した友人に似ていたことに、数日後に気が付いた。
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by solalyn | 2017-01-16 13:36 | PROPOS | Comments(0)

彼方此方

 あるとき、偶々同じ時間に同じ場所にいた二人の男。

なんということもない、その風景が、人知れず永遠に定着される。

写真は不思議だ。

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DATA:Leica M6 Summicron 50/2 Kodak Tri-X 400 f4 1/125
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by solalyn | 2016-12-16 20:39 | PROPOS | Comments(0)

力点(パワーポイント)を越えて

こどもは、隙あらばわけもなく駆け出す。

大人は、目的がなければ走らない。

ちいさい彼らを見ていると、この目的だらけの世の中を、ほんの一瞬だけ忘れられて、いい気持になる。
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by solalyn | 2016-12-05 18:50 | PROPOS | Comments(0)

ギフト

 昔の言い方で、病気になることを「病を得る」という。

そう考えると、病人というのは、半ば神様みたいなものなのかもしれない。
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by solalyn | 2016-11-29 00:31 | PROPOS | Comments(0)