現(うつつ)十夜

こんな現を見た。

仕事帰りの地下鉄で、私の座席に隣り合わせた少女がなにやら一心不乱にノートに絵を描いていた。少し浮世離れした雰囲気の少女だったので、好奇心からノートを一瞥した所、二枚の絵というか、素描が描かれていた。

一枚目は、長い手が涙を掴もうとしているような絵だった。
二枚目は、その涙のような、雨滴のようなものが降っているだけだった。
彼女は、ページをめくって三枚目にとりかかろうとしていた。私は続きを見たいと思いながら、ついうとうとと眠り込んでしまった。

私が起きたのは、降りる寸前だった。少女はまだ描き続けていた。私はまたさりげなく覗き込んだ。
三枚目は死神の絵だった。雨滴と思えたものは、死神の目と鼻になっていた。死神は、悲しいような、困ったような表情に見えた。

私は降りる前に乗降口から彼女を見た。彼女も私を見ていた。不思議な表情をしていた。



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DATA:Leitz minolta CL M-Rokkor QF 40/2 Kodak BW400CN f2 1/30
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# by solalyn | 2009-11-18 22:32 | PROPOS | Comments(0)

モノクローム讃歌

一枚の紙切れから、忘れかけていた風景が現れる。


忘れかけていた匂い

忘れかけていたぬくもり

風のそよぎ

嬌声

あなたの声。


モノクロ写真って素晴らしいなあと、心から思う。

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DATA:Leica M6 Summicron 50/2 Kodak BW400CN f2 1/15
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# by solalyn | 2009-11-17 01:59 | PROPOS | Comments(0)

きらきらの汁の話

息子とお風呂に入っていた時の話。

彼はさっき飲み干したC1000タケダの小瓶を風呂桶に入れると、そこにペットボトルで湯船から汲んだお湯をざぶざぶかけ始めた。

「何してるの」

「今ねー、ダイヤモンド作ってるの」

「そっかぁ。でもそれはガラスじゃないの」

「そうだよ。でも今からきらきらの汁をかけて、ダイヤモンドにするんだよ」

そう言うと彼は、また風呂桶にざぶざぶお湯をかけ始めた。

お湯は、きらきら輝いていた。

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DATA:Leica M6 Summicron 50/2 Kodak BW400CN f2.8 1/60
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# by solalyn | 2009-11-13 21:32 | PROPOS | Comments(0)

そこへうさぎが

生まれて初めてうさぎを飼い始めたときは名古屋で最初の結婚をしたばかりの頃だった。

離婚して、四年ぶりの面会。生まれたてだった赤ちゃんうさぎは、七歳のおばあちゃんうさぎになっていた。動きが、ゆっくりになっていた。

この写真を撮って一ヵ月後に、元の妻から彼女が死んだと泣きながら電話がかかってきた。なんと答えたのか、はっきりとは覚えていない。「きっとしあわせだったと思うよ」とか、そういったたぐいのことをいった気がする。


あの電話から三年。今の僕は東京で、あの頃の写真を見かえしている。写真の中の彼女はあいかわらず公園をゆっくり跳ねまわっている。あいかわらず午後の陽が射している。

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DATA:Leica M6 Summicron 50/2 Kodak BW400CN f8 1/250
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# by solalyn | 2009-11-12 22:10 | PROPOS | Comments(2)

きらきら

「じゃあ、向き合ってみて」

照れて笑いながらも、そうしてくれた。

「じゃあ、記念にね」

笑いあっている幸福な光景を残すために、僕も笑いながら、でも真剣にシャッターを切る。

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DATA:Leica M6 Summicron 50/2 Kodak BW400CN
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# by solalyn | 2009-11-11 23:34 | PROPOS | Comments(0)

イツノマニカ

いつの間にか文字が読めるようになっていた。


きっと


いつの間にか音楽の喜びを知ったり、

いつの間にか恋をしたり、

苦い経験をしたり、

うれし涙を流したり、

それから

それから


いつの間にか。イツノマニカ。

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DAta:Leica M6 Summicron 50/2 Kodak BW400CN f2.8 1/60
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# by solalyn | 2009-11-11 00:01 | PROPOS | Comments(0)

K

小学生のとき読んだ、エドガー・アラン・ポーの『黒猫』って小説のラストシーンの挿絵が、今思い出しても怖かったんですよね。

ちなみにいちばん好きなポーの作品は『使い切った男』ですけどね。
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DATA:Leica M6 Summicron 50/2 Kodak BW400CN f2 1/8
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# by solalyn | 2009-11-10 12:28 | PROPOS | Comments(0)

しょんぼり好き

「男の人って本当にしょんぼり型の女が好きなのね。そのくせ、いざとなると、着飾ったあばずれに手もなくまいっちまうんだから」

(Agatha Christie 『永遠の三角形』より-早川文庫『死人の鏡』所収-)


ミステリーなのに、地下鉄で吹き出しそうになりましたよ。やるなあ、アガサ(笑)


ではでは。

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DATA:Leica M6 Summicron 50/2 Ilford XP2 f2.8 1/60
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# by solalyn | 2009-11-09 22:14 | WORDS | Comments(0)

コドモノココロ

朝、いつものように地下鉄の長い階段を登ってるときのこと。

(やれやれ)

そう思いながら登っていると、僕の脇を7~8歳くらいのちびっ子たちが、わーわー叫びながら駆け上がっていった。

(子どもは元気いいな~。俺もそうだったもんなあ・・・。ん?待てよ。あいつらのがちっこいのに、体力無いのになんで俺より元気なんだろ)

そこで気づいた。っていうか、思い出した。

大人は背が高くなって、知恵が付いて、いままで登ってきた道のりの長さも、これから頂上までの道のりでどれだけ疲れるかも知ってる。

(からだが疲れるからじゃなくて、その疲れを先回りで想像してこころが疲れてたのか・・)

目を上げると子ども達はもうすぐてっぺんだ。過去もなく、未来もなく、目の前の一段一段を跳んでいる。

自然に笑みがこぼれてきた。僕も目の前の一段に意識を集中する。なにかが動き出す。

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DATA:Leica M6 Summicron 50/2 Ilford XP2-Super f11 1/500
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# by solalyn | 2009-11-09 07:44 | PROPOS | Comments(0)

「ムダ絶対音感を持つ男!」の巻

こんばんは。ムダブログのコーナーですm(__)m

皆さんは、日常的に聞いている音から、

(・・あれ?この音は、あのSEに似ているぞ!)

と思ったことはないですか?僕は最近二つ発見しました。一つ目は、

「車で中央分離帯の線を跨いだ時に鳴る音」

と、

「『スターウォーズ』で、騎士が振り回す光の剣(ライトセーバー)の音」

です。二つ目は、

「歩道で、じいさんが痰を切ってる音」

が、

「ウルトラマンのかけ声」

に聞こえるんですねえ。驚きました。

生きてるといろいろなことに気付くものだなあと。

ではでは(^o^)/

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DATA:Leica M6 Summicron 50/2 Ilford XP2-Super f2.8 1/60
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# by solalyn | 2009-11-06 22:20 | PROPOS | Comments(2)