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誰もみな手を振って

 こんばんは。なにかこう洒落たことを書きたかったのですが、なんにも思い浮かびませんでしたので、昨夜の話をひとつ。


新宿ゴールデン街にある写真酒場「こどじ」に、写真家の岡本正史さんの写真展を観に行き、いつもどおり、写真以外の与太話だけしての帰り道。いかつい黒人さんの横を通り過ぎた瞬間、彼が大声で叫び始めたが無視して歩いた。(新宿こえーなー)などと思いながら歩いていると、なかなか背中越しの叫びが止まない。それどころか、どんどん近づいてくる。

「ヘイ、ヘイ!」

とうとう彼はぼくに追いついた。すこし息を弾ませながら、彼がぼくのほうに差し出した掌には、ぼくが落とした手袋があった。


みなさま。今年も拙ブログにお付き合いくださり、ありがとうございました。

どうぞよいお年をお迎えくださいね。ではでは。
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by solalyn | 2015-12-29 18:14 | PROPOS | Comments(0)

キャパとゲルダとゲルダの話

私のおかしなハンガリー人さんへ


ひさしぶりにあなたに手紙を書いています。ほんとうにひさしぶり。1947年か48年が最後だったはずだから、17、8年ぶりになるのね。まったくなんてことかしら!

なぜひさしぶりにあなたに手紙を書いているかというと、どうしてもあなたに報告したいことができたから。それは、私の最新作に関することなの。

大傑作ってわけじゃないわ。たぶん、ふつうに当たりを取るでしょうけれど、数年後には忘れ去られるような、そんな映画。

そう、映画そのものについてじゃないの。話したかったのは、その映画での私の役名についてなの。

ゲルダ・ミレットというの。そうよ、「あなたの」ゲルダから採ったの。

どうして私が彼女の名前を知っているかって?今だから教えるけれど、あなたはよく寝言で彼女を呼んでいたわ。やさしい口調や厳しい口調、哀願しているときもあったわ。

でも、いちばんよく聞いたのは、あなたが彼女の名前を大声で叫んでいる声よ。泣きながらね。

だから私は、あなたのヨーロッパ時代からの古い友人たちにその名前について聞いたの。そして、私は知ったわ。

彼女はあなたのキャリアの初期のパートナーで、優秀なカメラマンだったこと。ある時期は私的にもパートナーだったこと。あなたが唯一本心から結婚したいと願ったひとだったということ。スペイン内戦で戦車に轢かれて死んだことも。

最初は頭に来たわ。私との結婚についてはのらりくらりとかわすくせに、って。

そうしてあの後しばらくして私たちは別々の道を歩くことに決めたんだったわね。

今年、この『黄色いロールス・ロイス』という映画のオファーが来たとき、私の役名はまだ決まっていなかった。エージェントは、「イングリッド、あなたご自身で名付けてもアンソニー(監督よ)は一向にかまわないそうですよ」と私に伝えてきたわ。

その話を聞いた後で車に乗っていると、ラジオから聞こえてきたの。あなたについてのニュースが。

「・・・今日5月24日は、世界的な報道写真家だったロバート・キャパ氏が、インドシナで取材中に死亡してからちょうど10年に当たり云々・・・」

それを聞いて、私はいっぺんにあなたとの日々を思い出したの。そうして突然思いついたの。そう、ゲルダよ。名前はゲルダにするわ、って。

あなたは怒るかしら。それとも大笑いするかしらね。ああ、私もあなたの大笑いする顔がとても好きだったのよ、ボブ。みんなと同じように。でも、そうじゃないときの、あなたもなかなかよかったわよ。

安心してね、この手紙は、書いたら焼き捨てます。あなたとゲルダの名誉のために。それと多少は、私自身のためにも。

それじゃあ、また。


愛をこめて。


あなたのイングリッド
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by solalyn | 2015-12-22 01:47 | PROPOS | Comments(0)

【朗報】 『画像の墓場』がリニューアルして復活です。

こんばんは。

さて、今夜のお題は表題の通りです。

(・・・ほほう)

という当時の人も、

(・・・?なんのことだかわからんぞ??)

というお初の人も。来たれ写真好き。みんなで写真を投稿したり、気に入った写真にコメントしたりしてたのしみましょう。

ではでは↓


(続)画像の墓場
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by solalyn | 2015-12-21 19:18 | PROPOS | Comments(0)

ぐるりぐるりと

こんばんは。


今年ももうあと二週間ちょっとですね。じつにすみやかに時が流れていきます。

昔、創元推理文庫から出ていた、『ポオ小説全集3』に、『メエルシュトレエムに呑まれて』という短編が収録されていたのですが、その中で登場人物が、メエルシュトレエム(メールシュトローム)という、鳴門の大渦の極悪版みたいな現象について、たしかこんなことを言うんです。

「その渦は、あまりに大きいために、呑みこまれたはじめのうちは流れもゆったりとしていてまったく気づかない。そのうちに速度が上がってくるが、それでもまだ、渦の直径のあまりの巨大さに、自分がその現象にとらわれているとは思いもよらない。そのうちに速度はどんどん増していき、自分がぐるぐると渦の中心に引きずり込まれようとしていることを発見する。しかしそこまで来るともうなにをしても脱出は不可能で、そのまま渦の中心に引きずり込まれる」

なんだか人の一生みたいで、ときどき思い出します。

ぼくはいま、どの辺りまで来ているんだろう。


ではでは。
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by solalyn | 2015-12-11 20:18 | PROPOS | Comments(0)

エニシの話

 最近、近所の人がおもしろい。特定の誰か、というわけではなくて、すごく狭いエリアなのにその中に世界がまるごとあるような感じというか。

加藤清正の股肱の臣は、彼が少年の頃、悪童仲間だったものたちだったという。今までは、

(そんな近所にいるものかね)

などと思っていたが、案外そういうことはあるものかもしれないなぁ、と思い始めている。
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by solalyn | 2015-12-03 19:50 | PROPOS | Comments(0)