父方の大叔母であるクニヨは、「薩摩生まれのお転婆女学生が、そのまま年をとった」という女である。ころころとした容貌に相応しく、陽気でよく笑い、にぎやかなことがだいすきだった。
数年ぶりに会った彼女は、骨と皮だけにやせ細っていて、病室に入ったときには本人かどうかわからないほどだった。
でも、ベッドに近寄って目を見るとすぐにわかった。ああ、そうだ。この目だ。いたずらっぽく、きらきらしている目。
その日、孫やひ孫に囲まれた彼女は
「まあ、こんなに若い男に囲まれてしあわせだこと」
と言った。そういいながらも、しばらくするときっぱりこう言ったのだ。
「あなたたちはこんなところにいてはだめ。外で遊んでらっしゃい」
その台詞は、ぼくもちいさい頃彼女からよくいわれたものだった。
帰り際にぼくは、「クニヨ、遺影を撮るからポーズして」とせがんだ。彼女はちょっと笑い、親指がするするとあがってきて
カチ
DATA:Leica M6 Summicron 50/2Kentmere 400 f4 1/125