むかしむかしのおはなし。
あるところにひかりで絵をかける筆をもらった若者がおりました。
彼ははじめ、不思議な絵筆自体を眺めて暮らしました。それだけでもたのしかったからです。
そのうちに、絵筆を眺めているよりも、それで絵をかくことのほうが、うんとすきになりました。
絵をかいているうちに、彼はいろいろなひとたちとなかよくなりました。彼が絵をかけなくなりそうになると、そういうひとたちが、みんなで彼を助けてくれました。
月日がずんずんたちました。
いつのまにか、彼は若者ではなくなっていました。
そのかわり、彼はひかりを感じることができるようになったのです。
今では彼は、むかし自分がしてもらったように、ひかりを感じたいひとたちに絵筆をくばって歩いているそうですよ。
むかしむかしのおはなし。
DATA:Leica M6 Summicron 50/2 Kodak BW400CN f8 1/125